ヤなことそっとミュート/NINE を推し目線で書く
ヤなことそっとミュート(以下ヤナミュー )って?という問いも今更無いと思うので割愛します、もし知らない人居たらググって下さい。
メジャーデビュー1日前、という事であらためて9ヶ月連続リリースシングルシリーズであるヤなことそっとミュート"NINE"について書きたいと思いますがかなりバラエティに富んだシングル群で内容がブレそうなのでここはヤなことそっとミュートにおける"推し"コンポーザー兼ギタリストであるJ. og氏作曲のもののみ個別に焦点当てて書いていく事にします。
所謂ヤナミューちゃん達についてはほぼ控えめなのでメンバー以外興味ない方は多分面白くないかと思う内容です、申し訳ない。
その前に「J. ogって誰?」って人はこちらをどうぞ↓
(http://ass-atte.hatenablog.com/entry/2019/01/09/235205)
・NINE#2/ポケットにレベリー
いきなり初期のオマー・ロドリゲス・ロペス(The Mars Volta)みたいなリングモジュレーターバリバリかませたギターノイズから跳躍アルペジオやタッピングフレーズを基盤とするマスロック、ポストハードコア風の爆速チューンです。
ドラムもヤナミュー史上初のブラストビートが顔を出したりしてますが感触としてはメタルというよりもthe cabs「キェルツェの螺旋」あたりのマス要素入りのJ-ROCKに近い感じでそっちのファンの方が楽しんで聴けるのではないでしょうか、と思いました。
Jさんらしい1曲かと思います。
・NINE#3/レイライン
本人もツイッターで似たようなことを名言してますがJ. ogというコンポーザーの中でも記念碑となるような挑戦的な1曲です。
ピアノメインのバッキングにテンションコード、手数多い単音リフ多用のオシャレなギター、4つ打ちダンサブルなドラム、明確で爽快感あるサビ…凛として時雨かSchool Food Punishmentか…?某曲にサビがそっくり…?あれ…?いつものJさんじゃない…?と正直この手の路線全く求めてなくて最初は戸惑いを隠せなかったのですがライブで聴くたびだんだん良い曲だなあと思うようになり今では思い入れ深い好きな曲です。
何よりも"J. ogという人が誰にでも受け入れられるキャッチーなメロディやソングライティングにも長けた作曲家"という僕の思っていた事がこのある種ストレートな曲で証明されたのが良いと思ってます。
NINE#6/ライカライロ
エレクトロニカ風の打ち込みから始まっていきなりオシャレになる曲
リズムの強拍の位置が奇妙に配置されたAメロからBメロ来てサビでいきなりスウィングし始めるのが妙にクセになりますね、コード進行に全体的にちょくちょくⅡ-Ⅴが入ってるのもジャズっぽい感じを意識したのかなという印象。
何よりもサラッと入ってくるギターソロですがJさんがほぼペンタトニック一発ベースにさりげなくいつもの♯5や♭3が入ってくるのが個人的にはグッときます。
NINE#7/Gifted
"ルーブルの空"以来のストレートなロックチューン、僕がNINEシリーズで1番好きな曲です。
爽やかイージーコアにJawboxみたいなDCハードコアの不協和音のエッセンスが入った温故知新といった感じの曲ですが中間イージーコア由来のブレイクダウン(ヤナミュー初!)が聴けるのも面白いです。
こういうブレイクダウンみたいなともすればメタル的な表現はある種Jさんが今まで意図的にかルーツが無かったからかやって来なかった表現でこの辺りは同じヤナミューのコンポーザーで共作の経験もある畠山凌雅(Ex.Say Hello To Sunshine)氏にも近しくなってるような部分が垣間見えるのでコンポーザーとしての幅の広がりをこういう路線からも感じ取れるのは非常に僕的に楽しいです。
NINE#9/記憶とハーモニー
前作"ユモレスキ"の"Westminster Chime"にも似た多重コーラスと繰り返されるモチーフの祝祭的な、ラストだけどオーバーチュアっぽいイメージのあるバラード、NINEの締めって感じです。
今聴くとSufjan StevensとかBon IverみたいなSSWっぽさもありでこういう内省的なのもJさんの得意とする曲の一つではありますね、前作から考えたら1番従来のJさんらしい曲かも。
NINEシリーズというのはメジャー前夜のシングル群でシリーズ展開の合間にグループ、メンバー的にも色々あったりであらゆる意味での"変化"を象徴するものだと思うのですが、その変化というものはバックを支えるコンポーザーも同様でして
特に"らしい"慣用句みたいなフレージングの色合いが強い(と個人的に思ってる)J. og氏にとっても色合いの強さから更に色彩を多彩に増やした"変化"を象徴する作品群ではないのかなと個人的に強く思います。
グループがメジャーレーベルに所属してこれからどのような展開になるかは全く想像が付いてませんが少なくとも進化や拡張を止めない楽曲制作チームがいる限りはその点においては安心していいのかなーと思っております。
手始めに、みんなで見ようぜバンドセット配信!
少女模型/マネキンの逆襲
関西のアイドルグループ(で良いんですかね)少女模型(ショウジョマネキン)が去年出した5曲入りのEPなんですけど本日各種サブスクでの配信を開始したそうで前からツイッターのお知り合い達が今よく通ってる現場らしくツイートで知ってはいたのでまずは音源から!と聴いてみたらめちゃくちゃ音楽が尖ったアルバムで「これは今までにありそうで無い!」という絶妙なもので軽くビビりながらこの良さを長文にしてまとめたくレビューを書こうかと思い立ちまして
某ヤのNINE(これはグループそのものに思い入れもあるのでもうちょい時間かかりますね)を差し置いても個人的には書く価値はあるのかなというくらい刺激的なやつでした
グループとかメンバーの事とか一切知らない状態での音楽だけを聴いたレビューで恐縮なのですがぜひ見ていただけたら
曲順ごとに1曲ずついつものノリで書きます
1.レイザーイレイザー
Sigue Sigue SputnikだったりPlasticsみたいな80'sニューウェーブのテイストを今っぽいアイドルに翻訳して全速力でぶん投げた感じの曲でど頭からインパクトが強くて良いです。
2.イスカンダルのターン
Shamen、808 State、Soft Ballet、P-MODELなどのニューウェーブ、ハウス、テクノ(80~90年代のそういう音楽)このグループ特有の何かで翻訳したダンスチューンです、だいたいアイドルグループってダンスチューンでも無理くりコードの流れでサビを作っちゃって萎える事が個人的には多いのですが明確にサビを持たない単一なモチーフのループがメインなこの曲は僕の望んだとこにうまくハマってました
3.あの手はウェポン
ゲイン強めの歪んだギターと打ち込みの 4/4のビートでミニマルな感じに進んでいくと思ったら突然展開変わって最終的にどんどん加速していくアーメンブレイクとノイズで終止する後半から爆発していくタイプの曲、ラストのサンプリング声ネタもまさかアイドルにぶっこんでくるかという感じで好きです
4.パラノイ!
1番アルバムで好きな曲です、Soft BalletやSkinny Puppy、NINの1stなどインダストリアル寄りの音にKawaiiフューチャーベースと地下アイドルのロックチューンをごった煮した他に形容しづらい曲です
5.ヒッタイトナンバー
ブレイクコアからのアイドルらしいカノンコードで爽やかに進むサビを持った曲調になったかと思いきやガバみたいになり始めたりCOTD風になり始めたりこれまたカラフルな曲
全体的に言うとそこそこキャッチーじゃない部分もあるのに無理なサビを作らなくともメンバーの曲調と反した声を張り上げないタイプのVoでキャッチーに聴けるのが良いと思います
また全体通してルーツがデジタルハードコアだけじゃなく80'sのインダストリアルやEBM、ダークウェーブなどにあるような音出してるので"ゴシック風"のアイドルは数多いますが音だけでいうなら自分が今まで聴いたアイドルでも1番"GOTH"してるなという印象
この辺りの音って中々アイドルに翻訳されないのでそういう意味でも隙間を上手いこと突いてて新鮮に聴けるアルバムでした
音源としてはとにかく刺激的で良いという事を書きましたがライブを見てみない事にはぶっちゃけグループとしてはわからないので是非関東遠征お待ちしております、何卒…
J.ogという”天才”ギタリストについて
なんかタイトル仰々しくなってしまい申し訳ない気持ちも若干ありますが思うこと丸々書かせていただきました。
指摘があれば訂正、削除します。
本題、突然ですが皆さん好きなギタリストはいらっしゃるでしょうか?
僕はギターを始めてからかれこれ12年(ただしお恥ずかしながらここ2年くらいは週1回1時間弾けばいいほうでテクが衰える一方、いかんなあ)になりますがおかげさまで沢山おります。
ジミ・ヘンドリックス、ロバート・フリップ、ネルス・クライン、フランク・ザッパ、ダイムバッグ・ダレル、カート・バルー、ステファン・カーペンター、J・マスシス、ミーシャ・マンソー、トーマス・エラック…etc名前を羅列してもしょうがないのですがいずれも個性とテクニックに溢れるシーンに影響を与えたプレイヤーばかりですしこれらプレイヤーに出会えたおかげでギターが楽しくなったわけですが、最近それら僕の”しゅきしゅきギタリストアーカイブ”に名を連ねる僕が日頃”天才”と呼んでいるニューカマーがおります、僕を知る方はだいたいご存知かと思いますがそれがJ.og氏というギタリストの存在です。
○”J.og”氏とはどういう人?
4人組轟音清純派アイドルグループ”ヤなことそっとミュート(以下ヤナミュー )”の一部曲を現在進行系で作曲し続けるメインコンポーザーの1人であり今までのバンドセットから今月1/12(土)、東京都江東区のZEPP DIVERSITYで行われる全編バンドセットの3rdワンマンライブ"THE GATE”のバックバンドのギタリストも務める僕が今”1番注目されるべき天才”と思ってるギタープレイヤーです。
・下記ヤナミューにおける作曲リスト(多分抜け無いと思うんですがあったらご指摘ください)です
morning
No Known
AWAKE
Palette
Phantom Calling(NENGU馬場庫タロウ氏との共作)
ルーブルの空
Pastureland
Blue
ぼくらのちいさな地図
Westminster Chime(畠山凌雅氏との共作)
Whirlpool Swirls
とヤナミューのファン(オタク?)が見ると「ああお馴染みの曲ばかりだなあ」となるようなラインナップでまさに作曲の支柱とも言える人です。
ここからは僕がこのJ.ogというギタリスト、コンポーザーをなぜ好きなのかつらつらと書いていこうかなと思います。
どうでもいい理論の話とかもかなり出てきますがめんどくさかったら読み飛ばしてください。
熱意だけでも感じてくれたら幸いです。
1.キワどい不協和音やノンダイアトニックコード、テンションの多用、アウトスケールともされる単音フレーズの多用
僕ギターの不協和音が大好きでして、短2度の反復アルペジオとかそういうの聴いたら脳から興奮物質みたいなのドバドバ出ちゃうんですがJ.og氏のプレイはそういうフレーズをバシバシ自身の作曲に入れてきます、”No Known”なんかサビにガッツリ組み込んじゃってます。
また”morning”の後半間奏の一部や"Blue”のイントロリフ、”Pastureland”のギターソロ一部分では完全にコードからスケールアウトした単音のクロマチック扱いっぽいフレーズを入れたりしてるのですがそれが本当に僕のツボを的確に突いてくるので聴くたびピャーーーーーーー!!!!!ってなります。
上記羅列した僕のフェイバリットギタリスト達もそういうフレーズが十八番のプレイヤーが多数おりましてそういう事なんだろうなあ、と。
おそらくJ氏自身的にははツイッターID(@j_oggins)でももじって引用してるJawboxのJ・ロビンスからの影響かと思いますが。
2.メジャー7th、マイナー7thトライアドの多用
とかくメジャー7thやマイナー7thトライアド、もしくは準ずるコードでギターリフを作ることも多い、古今オシャレミュージックやギターロックまで多用される7thの響きですがJ氏はそれを平行移動させてリフを作ったりというのが多くそれも特徴的ですね。
3.バッキングというかそれギターソロじゃね?と言わんばかりのテクニカル!カラフル!な単音ギター
“Phantom Calling”の後半サビ、”ぼくらのちいさな地図”とかで聴けます。盛り上がってくる後半あたりで爆発してます。
これだけテクニカルにしながら曲に溶け込んだフレージングばかり考えられるのは多分才能なんでしょうね…
4.なのにキャッチー、聴きやすく世界観を感じる曲ばかり
結局これに尽きるとこはありますね。
かなり90’sオルタナティブロックの際どい部分を抽出した緊張感あるギターのフレージングの上に違和感なく耳馴染み良いメロディをサラっと乗せてしまうとこが本当に凄いなあと思うわけでして。
あとJ氏曲にはThe Beach Boysかなんかかってくらいメンバーの3度5度ハモりのコーラスが多用される曲が多いのですがそれの入れどころも綺麗で同じメロを合唱するパターンの多いアイドル楽曲やそもそもハモる事がないオルタナティブロック、どちらの目線で見ても新鮮なものに個人的には感じるしこれもとにかく好きなポイントです。 (Palette、Westminster Chimeのコーラスは至高)
オーソドックスな「ヴァース→コーラス→ヴァース」みたいな曲展開からそれに捉われないともすれば展開自体は難解な曲に至るまでオルタナティブロックだのDischord系のエモだの通らなくとも興味ない人にもアピールする作曲という点ではとにかく群を抜いているかなと思いますね。
そしてこれは僕のめちゃくちゃ個人的な思い入れの話なんですが、僕が昔バンドじゃ中々やりたいけどできなくて、1人で作曲やギターインプロ始めたときに究極的に目指していたのがそういう「緊張感あるフレーズをどれだけポップな音楽に組み込めるか」というものでして。
そういう点で見るとJ.og氏は完全に僕のかつて”本当にやりたかった”(やりたくても持ってる実力やセンスが理想に及ばなかった)音楽というのを余すとこなく体現してる存在で、僕を再び”本当に弾きたかったギター”に導かせてくれた存在で、そう言った人がこれからもヤなことそっとミュートというグループを通してワクワクするギター、音楽をたくさんの人に届けてくれているというのはいわば夢のある話でして、本当に個人的な話なのですが。
とつらつらと駄文を書き綴ってしまいましたが最後まで読んでくれた方は感謝の極みでございます。
これを読んで1/12の3rdワンマン来よう!と思う方、駄文なのでいるかわかりませんがいたらもう感謝の極み至上の喜びでございます、握手しましょう。
あと忘れてました、僕もお母さんとお寿司大好きです!
代代代/むだい
1. クラウスイハ
2. 凶ぺ
3. ZZアリン
4. TENPENCHii!!
5. インター流動
6. 血湧き肉DANCE
7. 歪んだ歪み、歪んだ歪み
8. ワールドワイドハピネス
「ニュースタンダードを掲げる7人組の少女隊。ジャンルはSOLID CHAOS POP。」(wikipediaより)をコンセプトに掲げる関西の7人組アイドルグループの10/24発売の新譜です(見てる人は把握してるかと思われますが)
あまりに内容が良くてツイッターがこれの話ばっかりになりつつあるので区切りつけるためと書かずにいられなかったのでまとめて一曲ずつ感想をブログで書いちゃおうかと思いました。
音楽オタク特有の既存の何かと比較するやつとか結構書いてるので苦手な方はスルーお願いします。
1.クラウスイハ
New Orderを倍速にしてハードコアテクノのキックを入れたような踊れる曲。
6分35秒と長尺な曲かつだんだんと音が重なってくる感じがサイケみもありますね、関西ということで人力トランスになった時期のBoredomsっぽさもある気がしてきました。
メンバーの歌声がパワフル。
2.凶ぺ
凶ぺ(まがぺ)と読むらしいです、アガペーのもじりですかね。
Black Diceか何かみたいな無調のビチビチの電子音ノイズに乗せて「ただ何もしたくない」とポエトリーリーディング?呪詛?が乗っかる前半からいきなり不穏なメロのコーラスやらバキバキの打ち込みが入る怖カッコいい曲です。
調性無視なパートのあるアイドル楽曲って僕の知る限りこれしかない気がします、僕もそこまで詳しくないのであったら教えてください。
3.ZZアリン
先行でPVの出た曲、終始1コードで突っ走る緊張感のある曲です、ギターをシンセに変えたKilling Jokeの”Hosannas From The Basement Hell”っぽい気がします、あとParts & Laborっぽさもある。
凶ぺからの繋ぎで聴くと非常に良いです。
なおPVのメンバー自撮りパートが可愛い
4.TENPENCHii!!
ハイポジでうねり始めるベースラインとか“4PLUGS”の頃のThe Mad Capsule Marketsっぽさがあるデジタルハードコアな曲、旧曲の再録らしいです。
これも同じく関西ということでMelt-Bananaっぽさもある気がします。
サビでいきなりアイドルらしい切ないメロディで疾走するのですがどこか不穏さが拭えないのが良いですね
5.インター流動
その名の通りインタールードです。
視聴会で聞いた話だとフィールドレコーディングやメンバーの声をミュージックコンクレートした的な話があった気がします、80年代のインダストリアルバンドみたいですね。
入ってるメンバーの声、逆再生したら多分元のセリフとか聴けると思います、僕はまだ試してないのでだれかお願いします(他力本願)
6.血湧き肉DANCE
チョレギ肉団子、こちらも4と同じく旧曲の再録。
Atari Teenage Riotを彷彿とさせるバキバキにデジタルハードコアな曲なのですがイントロの打ち込みが追加されることで不穏さが増してます。
レンジ狭めのミックスも良い意味で閉塞感があって良いです。
そしてコーラスの美メロ、Ⅳ→Ⅲの進行を繰り返す部分ちょっとV系とかCoaltar Of The Deepersっぽさありますよね。
7.歪んだ歪み、歪んだ歪み
“新しい”曲かと思います。
Trap以降のヒップホップ、R&Bで聴けるような16分のチキチキ金物、エコー処理したスネアの打ち込みにOne Orthorix Point Neverみたいなシンセ、薄くヴォコーダー掛けたボーカルが乗っかる時点で「最新のシーンの音だ!」(Frank Oceanの”Nikes”とかLil Uzi Vertの”XO TOUR Llif3”っぽさあると個人的に思います)みたいになったのですがそれに留まらず後半から全てを覆すようなJesuみのある轟音ノイズが入ってきてもう大変ですね、エモ死です。
8.ワールドワイドハピネス
代代代の作曲の小倉ヲージ氏のバンドDRINKPEDの曲で実質セルフカバーだとか、代代代のために用意されてたのでは?というくらいにしっくりきてます。
4コードのポップソングゆえに最強、みたいな曲です。
「世界中が僕になりますように」というみんな口ずさめるフレーズで既にアンセム化しつつありますね。
アルバムの締めがこれなんですが最後にぴこぴこした電子音で余韻を持たせて終わる感じがどこか逆に緊張感をアルバム全体に与えてる気がします。
◎総評◎
デジタルハードコア、グラインドコア、ニューウェーブ、アンビエント、インダストリアル、ハウス、ポストロック、R&B...etc
これら全てを混在させるというジャンルに対する思い切りの良さだったり混在させられて尚且つ”アイドルポップス”として機能させられる個性あって良いメロディ(一番センス光る箇所です)を武器に持ったグループの怪作だなあと思います。
またここ10年以内でPitchforkとかで紹介されてるノイズポップやエクスペリメンタル系、チルウェイブとかTrapにも通じる部分もあって比較的10~20年前のシーンの再現が多いここら辺のアイドルポップスシーンでは”新しい”なあと個人的には感じます。
また前作「戌戌戌」で聴けた複雑なドリルンベース、ブレイクコア要素は影を潜めて音数減らしてシンプルに踊らせたり揺らせたりするようなミニマルな打ち込みだったりインダストリアルノイズみたいなアプローチが増えたのがアルバム全体に独自の緊張感をもたらしてる気がします。
あと音数が削ぎ落とされた分メンバーの歌声も聴き取りやすく「個性ある歌声だなあ」とハッとさせられる瞬間があったりするのがまたさらに楽しいです。
長々と書いたら電池切れそうになったし疲れたのでこれで以上にします。
とにかくあんまりこういう事言わないタイプなのですが、これに対しては”今聴くべき"アルバムだと自信持って言えます。
リッカチャン
ヤなことそっとミュート/MIRRORS
1.ルーブルの空
2.クローサー
3.GHOST WORLD
4.HOLY GRAiL
5.No Regret
6.Reflection
7.Any
8.天気雨と世界のパラード
9.AWAKE
10.Palette
11.Phantom calling
本日5/4からiTunes等で音源配信を始めました"ヤナミュー"ことヤなことそっとミュートの2ndアルバムです(これ読んでる人は全員知ってるとは思いますが…)
せっかくだからツイッターでは書けない長文で曲ごとの感想と総評書いてみようかと思います。(5、7、8、9のSTAMP EP収録曲は以前書いたので割愛します)
前もそうですがメンバーの話より既存バンドの比較とかギターの話とかが多いので苦手でなければお暇潰しにお付き合い頂けたら幸いです。
1.ルーブルの空
Twitterでもよく見かけるのですがcowpersとかNAHTみたいな90's~00's邦emoを彷彿とさせるギターが7thもりもりなストレートなロック曲なのですが変拍子混じりだったりフレーズが要所でテクニカルなのが今風で良いです。
2.クローサー
2ndワンマン前に音源が先行配信されオタクを狂気させいつの間にか代表曲になった感すらあるメロディックハードコア(非メロコア)な疾走曲の再録、メンバー4人のVoが元の急遽録って出し的な荒さのあった音源に比べて安定してるのと音圧が増してるの、あとサビ右チャンネルのリードギターがモジュレーターか薄くかけたフランジャーかなんか空間系のエフェクトプラスされてたり違いを比較するのが楽しいですね。
あと個人的にサビのリードのシーケンスフレーズは僕の大好きなTakenという叙情HCバンドの曲を思い出す感じでついガッツポーズしてしまいます。
3.GHOST WORLD
m7thトライアドの長2度平行移動を繰り返す16分カッティングリフなど完全にCoaltar Of The Deepersのそれを繰り返すヴァースからヤナミューでは珍しいAnyに続くメジャーキーの超爽やかなメロディのサビ(これが本当に無限に聴けるくらい好きなメロディでして)が印象的、アルバムでも屈指の好きな曲です、これでPV作って欲しい。
4.HOLY GRAiL
PVにもなりました代表曲、冬時期にピッタリなポップな曲です、アルペジオが印象的。
6.Reflection
なんとなく初期Paramoreとか00's中期、後期エモっぽいなあと思ったストレートなロック曲、サビの開放弦多用したコードが音源でよく聴き取れるようになってとても良いです。
10.Palette
いきなりAmerican Footballとかみたいなタッピングリフが入るのが印象的な緩やかなバラード、歌メロが非常に良いです、ぱっと聴いた感じ音はMIDWESTエモとかマスロックのそれなのに対しての途中の"ネイビーブルー"と繰り返されるコーラス部が昔のポップスみたいだったり作曲のJ.og氏の懐の広さだったりセンスの凄さを要所で実感します。
11.Phantom calling
2ndワンマンでラストに初公開されたJ.og氏とマスロックバンドNENGUの馬場庫タロウ氏の共作曲、暫定今年1番好きな曲です。
変拍子ポリリズム転調多用、m7thトライアド、単2度アルペジオ、単音フレーズのピロピロの際どいギターフレーズなど作曲者の趣味が全面に出てながらもまるでミュージカルの挿入曲みたいな壮大でキャッチーなメロディの誰でも聴ける感じでなおかつ4分弱のコンパクトな尺にまとめて仕上げてしまう天才2人の所業がこの曲には詰まってます。
クランチ気味なギターも含めて既存バンドならFaraquetが近いのではないでしょうか、作曲自体は全然違うのですが。(ちなみにFaraquetはいつぞやのDJ運営で慎さんが選曲してました)
・総評
Say Hello To SunshineやBackdate Novemberのカバー曲もあったりミドルテンポの曲も多く入っていてインディっぽさが色濃かった1stAL「BUBBLE」に比べて、今作に至るまで曲展開もストレートでアップテンポかつ曲そのものに邦楽オルタナティブロックをなぞったような空間を埋めるフレージングの多い曲(1、3など)、メンバーの歌唱力の向上に反応するかのように高めのキーの曲が続けて公開されてきたこと、各パートの音の分離がくっきり音圧自体も上がっていることなどから前にも書いたのですがより多くの人に聴かれることを意識している感じがだんだんと出てきたのが反映されたアルバムになっているように感じます。
あとは相変わらずどんなに楽器のフレーズをオルタナティブロックやエモ、もっと言えばマスロックなどのそれにしても歌メロやコーラスワークをポップにジャンル慣れしてない人にも聴きやすいように仕上げてくるのは"バンド"でもなく"アイドルグループ"ならでは成せることだよなあと言うくらいには歌メロの水準が高く非常にキャッチーので流石だなあと思います。
欲を言うなら1stで言うところツキノメだったりNo Knownみたいなミドルテンポの曲がもうちょい挟まってたらなあというくらいですかね、逆に言えば次の新曲に期待してます。
何にせよ今年のベストアルバムの1枚は確定です。
まだ聴いてない方は是非…
ヤなことそっとミュート/STAMP EP
01 Any
02 No Regret
03 AWAKE
04 天気雨と世界のパラード
05 morning(LIVE ver)
06 sputnik note(LIVE ver)
07 Lily(LIVE ver)
08 am I(LIVE ver)
8/16発売のアルバムですがitunes等先行で配信もされているので長々と曲単位のレビューを書きたいと思います。
前に同じく既存バンドの比較とギターワーク面であーだこーだ言ってるのが多いので苦手な方はスルーでお願いします。
既発のLIVE音源は3/26ワンマンのものなので割愛します。
01.Any
PVも出ました冒頭から刻みリフが印象的なメジャーキーのアッパーな疾走曲。
随所随所にヤナミューでも珍しいペンタトニックスケールのリフが混ざってたりテクニカルなタッピングリフのパートがあったりある意味異色な感じです。
「Turn left! Turn right! Way down! Way up! 」のハードコアノリなシンガロングパートが僕にとってはツボだったりします。
海外だったらStrung OutとかRufioとかのメタリックなメロコア、最近だったらNeck Deepとか、あと初期のFACTなんかに近いノリな気がします。
02.No Regret
Story Of The YearやThriceを彷彿とさせるストレートなエモ曲、メンバー全員の歌唱が一番フィーチャーされてる曲だと思います。(一花さんレナさんのソロパートがしっかりあって良い)
基本前作のLilyに近い構成ながらもメタリックなギターソロやペンタトニックのリフがあったりと差別化図れてるのが良いです。
03.AWAKE
これもPVになりました曲。
空間系エフェクターマシマシのトレモロフレーズやテンションコード多用のリフをバックにしたサビとかラスト6/8の拍子のブレイクとか中々最近見られない構成の曲かと思います。
リフの作りからエモというよりはJupiter~Antenna期のCave InとかA Perfect Circleみたいな00'sUSオルタナに近いんじゃないかなと勝手に思ってます。
04.天気雨と世界のパラード
ワンマン初披露からついに音源化された曲です。
ライブで見る振り付けとかも含めてポップなエモ曲なのですがギターが随所随所に単2度のアルペジオのバッキングだったりクロマチックでの繋ぎが入っていたりと実は中々凝ったフレーズのオンパレードだったりします。
ラストサビ入る前のコーラスだったりコーラスワークがとかく綺麗です。
総評
クランチ気味のギター音やシンプルなフレージングの曲が多数あり、90'sオルタナティブロックとの比較が多かった前作AL.「BUBBLE」に比べて全体的にミキシングのおかげかギターの音がよりメタリックで低音効かせ気味になっていてかつ01.Anyのタッピングリフや02.No Regretのギターソロに見られるような一聴してわかるテクニカルなフレーズが散見されてより現代的な作風になったんじゃないかなと思います。
あとはコーラスが今までよりも目立つようになったのも既存バンドと比較したときに、ポップなコーラスにヤナミューの他と違った良さがあると思ってる僕としてはどんどん推し進めていってほしいところかと。
そして1stEP時点で見られたメンバーの歌唱のブレとかが今作では完全に改善されているのでメンバー自身の成長を一番感じる作りになっているかと思います。
メンバーの成長と作風も含めてヤナミューがより良い意味でマスに向けた音楽を志向してるのが感じられる良いEPでした。
強いていうならPalette(めっちゃ好き)が収録されてなかったのが惜しいくらいです。
次アルバム期待してます!
ヤなことそっとミュート/BUBBLE
1. morning
2. カナデルハ
3. Lily
4. am I
5. ツキノメ
6. Just Breathe
7. orange
8. 燃えるパシフロラ
9. see inside
10. sputnik note
11. Done
12. ホロスコープ
13. No Known
4/5発売今話題のヤナミューことヤなことそっとミュートの1stALです。
レビューを書きたくなるくらい良いアルバムだったのですがTwitterでは収まりきらないのでこっちで書くことにしました。
(あと2、5、8、9、11についてはそれぞれBackdate NovemberとSay Hello To Sunshineの既発曲のカバーなので省略します)
既存バンドとの比較やギター、作曲云々を拙い文章力でぐだぐだ書いており、メンバー寄りの話が薄いので苦手な方は読み飛ばしてください。
1.morning
ギターが開放弦テンションや7thを多用しまくる全体的にはメジャー期のCave Inや初期Deftones、「Say Hello to Sunshine」時のFinchだったりHopesfallみたいな激情系HCを若干彷彿とさせるミドルテンポのポストハードコア寄りな曲。
とにかくギターワークがカッコ良い、今まで聴いたアイドル曲でダントツギターがかっこいい曲だと思ってます、イントロのDrive Like Jehu?って感じのメタリックな不協和音リフやブレイクのアルペジオ、要所に挟まる繋ぎの♭3rdや♭7th、クロマチックの単音と普通J-POPじゃやらないような尖ったフレージングを含みながらもしっかり壮大な歌メロを損なわない作り(終盤のなでしこさんに続いて3人のコーラスが重なる部分が本当素敵)は本当ひっそり作曲やってた身としては「やられた!」という感じです。
多分ヤナミューで一番好きな曲です。
3.Lily
PVも出ました代表曲、これもカバーらしいのですが音源が不明のためこちらに。
コード進行はⅣ→Ⅴ→Ⅵなど定番が多くバックも少ない音数ながらも轟音ギターと個性的で綺麗なメロディの光る曲ストレートなロックチューンです。
4.am I
空間系エフェクトやピアノの音を多用した壮大で神々しいバラード、中間にExplosions in the Skyみたいな轟音ギターはあれどポストロックともエモとも何とも比較しがたい曲です。
歌のメロディがほぼペンタトニック中心で構成されているのですがそれがバックのコードと合わさってまた独特の世界があると思います。
6.Just Breathe
2ndEP「Sealing EP」収録の既発曲です。
M7th多用のシューゲイザーテイスト溢れる疾走曲です。
中間のギターのアルペジオのみになる箇所がすごい好きです。
7.orange
カナデルハ、Doneでお馴染みBackdate NovemberのYohei Shibata氏作曲の疾走ギターロック、Dinosaur Jr.テイストのギターがツボな感じです。
中盤ギターのリードギターが何気にテクニカル…
10.sputnik note
Finchの「New Beginings」とSaosinの「Seven Years」をミックスしたような00年以降な感じのメタリックなエモ曲、イントロの開放弦ハーモニクス混じりのリフがカッコ良いです。
11.ホロスコープ
一番最初にPVが作られたこれも代表曲。
イントロのベースと最初のクランチ気味のダウンストロークのギターがCodeineっぽい?サビでThe Smashing Pumpkinsとかを彷彿とさせる轟音バラードです。
あと歌詞が本当に素晴らしいです。めちゃくちゃ切ない。自分はこれ聴いてヤナミューにハマりました。
12.No Known
morningと同じくJ.og氏作曲。
これもギターが滅茶苦茶カッコ良い、m7th、M6th多用のカクカクしたギターリフや♭2ndのアルペジオ、開放弦多用のギターのフィルインなど癖のあるギターフレーズや、それに合わせてトライトーンの不協和音気味になったりルートに戻ったりするベースラインにキャッチーな歌メロが乗っかる一風変わった曲です、繰り返されるギターリフに合わせて変化していくドラムのパターンも中々にキワモノ。
色んな方々からDischord Recordsのエモ・ハードコアバンドとの関係性が指摘されることの多いヤナミューですが、この曲がその最たるものではないでしょうか。(ちょっとだけJawboxとかFaraquetぽい)
・総評
色々「〜を彷彿とさせる」など書きましたがヤナミューの曲はただの00'sエモ・90'sオルタナティブロックとかのインスパイアや懐古に終わるものではないと思います。
それらの際どい要素も入れながらみんな聴けそうな歌メロのいいストレートなポップスだったりシンプルにJ-ROCKのカテゴリでちゃんと通用する作曲のバランスや、それらを支えるメンバー4人の真っ直ぐでバランスのいい組み合わせの歌声なんかはバンドやSSWよりも、「アイドル」という畑だからこそ作り得たアルバム、音楽だと感じます。
以上です。
駄文で申し訳ありませんが、もし興味あれば是非。