音楽レビュー

そんなに更新しない

代代代/むだい

f:id:ass_atte:20181029202522j:image

 

1. クラウスイハ
2. 凶ぺ
3. ZZアリン
4. TENPENCHii!!
5. インター流動
6. 血湧き肉DANCE
7. 歪んだ歪み、歪んだ歪み
8. ワールドワイドハピネス

 

「ニュースタンダードを掲げる7人組の少女隊。ジャンルはSOLID CHAOS POP。」(wikipediaより)をコンセプトに掲げる関西の7人組アイドルグループの10/24発売の新譜です(見てる人は把握してるかと思われますが)

あまりに内容が良くてツイッターがこれの話ばっかりになりつつあるので区切りつけるためと書かずにいられなかったのでまとめて一曲ずつ感想をブログで書いちゃおうかと思いました。

音楽オタク特有の既存の何かと比較するやつとか結構書いてるので苦手な方はスルーお願いします。

 

 

 

 

 

1.クラウスイハ

New Orderを倍速にしてハードコアテクノのキックを入れたような踊れる曲。

6分35秒と長尺な曲かつだんだんと音が重なってくる感じがサイケみもありますね、関西ということで人力トランスになった時期のBoredomsっぽさもある気がしてきました。

メンバーの歌声がパワフル。

 

 

2.凶ぺ

凶ぺ(まがぺ)と読むらしいです、アガペーのもじりですかね。

Black Diceか何かみたいな無調のビチビチの電子音ノイズに乗せて「ただ何もしたくない」とポエトリーリーディング?呪詛?が乗っかる前半からいきなり不穏なメロのコーラスやらバキバキの打ち込みが入る怖カッコいい曲です。

調性無視なパートのあるアイドル楽曲って僕の知る限りこれしかない気がします、僕もそこまで詳しくないのであったら教えてください。

 

 

3.ZZアリン

先行でPVの出た曲、終始1コードで突っ走る緊張感のある曲です、ギターをシンセに変えたKilling Jokeの”Hosannas From The Basement Hell”っぽい気がします、あとParts & Laborっぽさもある。

凶ぺからの繋ぎで聴くと非常に良いです。

なおPVのメンバー自撮りパートが可愛い

 

 

4.TENPENCHii!!

ハイポジでうねり始めるベースラインとか“4PLUGS”の頃のThe Mad Capsule Marketsっぽさがあるデジタルハードコアな曲、旧曲の再録らしいです。

これも同じく関西ということでMelt-Bananaっぽさもある気がします。

サビでいきなりアイドルらしい切ないメロディで疾走するのですがどこか不穏さが拭えないのが良いですね

 

 

5.インター流動

その名の通りインタールードです。

視聴会で聞いた話だとフィールドレコーディングやメンバーの声をミュージックコンクレートした的な話があった気がします、80年代のインダストリアルバンドみたいですね。

入ってるメンバーの声、逆再生したら多分元のセリフとか聴けると思います、僕はまだ試してないのでだれかお願いします(他力本願)

 

 

6.血湧き肉DANCE

チョレギ肉団子、こちらも4と同じく旧曲の再録。

Atari Teenage Riotを彷彿とさせるバキバキにデジタルハードコアな曲なのですがイントロの打ち込みが追加されることで不穏さが増してます。

レンジ狭めのミックスも良い意味で閉塞感があって良いです。

そしてコーラスの美メロ、Ⅳ→Ⅲの進行を繰り返す部分ちょっとV系とかCoaltar Of The Deepersっぽさありますよね。

 

 

7.歪んだ歪み、歪んだ歪み

“新しい”曲かと思います。

Trap以降のヒップホップ、R&Bで聴けるような16分のチキチキ金物、エコー処理したスネアの打ち込みにOne Orthorix Point Neverみたいなシンセ、薄くヴォコーダー掛けたボーカルが乗っかる時点で「最新のシーンの音だ!」(Frank Oceanの”Nikes”とかLil Uzi Vertの”XO TOUR Llif3”っぽさあると個人的に思います)みたいになったのですがそれに留まらず後半から全てを覆すようなJesuみのある轟音ノイズが入ってきてもう大変ですね、エモ死です。

 

8.ワールドワイドハピネス

代代代の作曲の小倉ヲージ氏のバンドDRINKPEDの曲で実質セルフカバーだとか、代代代のために用意されてたのでは?というくらいにしっくりきてます。

4コードのポップソングゆえに最強、みたいな曲です。

「世界中が僕になりますように」というみんな口ずさめるフレーズで既にアンセム化しつつありますね。

アルバムの締めがこれなんですが最後にぴこぴこした電子音で余韻を持たせて終わる感じがどこか逆に緊張感をアルバム全体に与えてる気がします。

 

 

◎総評◎

デジタルハードコア、グラインドコアニューウェーブアンビエント、インダストリアル、ハウス、ポストロック、R&B...etc

これら全てを混在させるというジャンルに対する思い切りの良さだったり混在させられて尚且つ”アイドルポップス”として機能させられる個性あって良いメロディ(一番センス光る箇所です)を武器に持ったグループの怪作だなあと思います。

 

またここ10年以内でPitchforkとかで紹介されてるノイズポップやエクスペリメンタル系、チルウェイブとかTrapにも通じる部分もあって比較的10~20年前のシーンの再現が多いここら辺のアイドルポップスシーンでは”新しい”なあと個人的には感じます。

 

 

また前作「戌戌戌」で聴けた複雑なドリルンベース、ブレイクコア要素は影を潜めて音数減らしてシンプルに踊らせたり揺らせたりするようなミニマルな打ち込みだったりインダストリアルノイズみたいなアプローチが増えたのがアルバム全体に独自の緊張感をもたらしてる気がします。

 

 

あと音数が削ぎ落とされた分メンバーの歌声も聴き取りやすく「個性ある歌声だなあ」とハッとさせられる瞬間があったりするのがまたさらに楽しいです。

 

 

長々と書いたら電池切れそうになったし疲れたのでこれで以上にします。

とにかくあんまりこういう事言わないタイプなのですが、これに対しては”今聴くべき"アルバムだと自信持って言えます。

リッカチャン